WORKS/作品
≪遥かなかたらい≫
命を生み出し育むこと、そして尽きた命を見送ることも日々の暮らしの中にありました。
生命のながれを肌で感じつつ、その行方は見極めようとする程、宇宙のリズムと共鳴し、遥か彼方へ遠ざかります。
私は粘土に触れながら生命の変容に寄り添い、その行方を探っているのかもしれません。

時のひだ
ブロンズ/H110
時は 私たちにたえまなく押し寄せ、
それはひだを重ねるように身体のまわりを廻り
天空へと導く。
いつの日か私たちは、塵となり宇宙へ還っていく。
ある時、分厚いギリシャ美術書のページをめくっていると
私の前に古代の神殿が現れた。
円柱が、時の巡りを忘れてしまったように並ぶ様は、
自分の記憶の中に存在するものが 時を超え
今もあるかのごとく語り続ける老人の姿のようでもあった。
その前で祈りをささげた人々、微笑みも、小さな足音も、
また強欲な権力も皆消えてしまったのに、
今なお崩れ去ることもできず、列柱は威厳と共にせつなく風を受けていた。
その時、ふと問いかけるものがあった。
「人とは何だろう…いったい人とは何なのか…」
多くはすでに朽ち果て、ささえるべき物も失い ただ立ち尽くす列柱。
この柱を延々と彫っていた人、そして運び続けた人々、
片隅の柱の影で泣いていた人も、
この柱の溝にもたれ、ささやいた若者たちも、どこへいったのか…。
取り巻く風塵の中に姿のかけらも残さず、
微かに風の中にすすり泣く声をとどめているのかもしれない。
私は時を越え聞こえてくる、
人々の「遥かな語らい」に耳を傾けずにはいられない。
………
いつの時代にもかならずある虐げられた人々の悲哀は
風化した景色の上を彷徨い さらに甦った町の上を漂っている。
水の中で溶けにくい絵の具が細く糸を引くように、
そしていつしかそれは濁り、
色が失われても、粒子となり存在するかのごとく、
小さな粒が微かな湿り気を帯び私の耳元をかすめるのです。
「伝えたいことがある」…と。
私たちは充分承知しているはずなのに、
どれほどの時を超えようとも
変わることのない犯しがたいもののことを…

翅は揺れる
アルミ,ステンレス,和紙,樹脂,桐/H104×W150×D95
世の中の歪みは多くの人々を翻弄し、
残された足跡は時の砂塵に埋もれていく。
鈍色の記憶に潜む人々の尊厳を形に留めたいと思った。
かげろうの翅と称される典具紙を一枚々重ねてみる。
存在のありかを探るように
普通の弱き人々の威厳を包むように
そして薄き翅が心の震えをそっと捉え
体の奥の悲しみを外へ導くように。

樹を抱く人
テラコッタ/H130
足は大地を強く踏みしめ
その手は大切な子どもを静かに抱く形だった。
慈愛に満ちた母の姿はいつも私たちに
懐かしい寛容の安らぎを与えてくれるだろう。
だがある時、同じ形が激しい慟哭の姿と重なった事がある。
私は空爆を受けた我が子を抱きかかえた母親の
行き場のない怒りと悲しみの姿を忘れることができない。
もう何年も前、塀を直した時のことだが
邪魔になった木が抜かれていた。
これから育つ若くて細い木だった。
根を付けたまま曝された姿は痛々しく、
すでに枯れていたのだが捨てることができなかった。
記憶の中に突き刺さっていた細い木が
その時突然私の意識を揺さぶった。
抱きかかえる木の束にその細い木を加えてみた。
さらに朽ちた老木の枝も加えた。
去り行く命に鎮魂の念を込め畏敬を表したいと思った。
そしてどのように様々な思いを抱こうとも
母の姿はやはり真っ直ぐ前を向いて居て欲しいと思った。
いかなる時代の中でも、生きる…とは、
遥かな祈りを背負い前へ進むことかもしれない。
「樹を抱く人」も又、前を見据え
大地を素足で掴むように立ち続けることにしよう。

オスカルと呼ばれた樹
ブロンズ/H110
深い森の樹々には不思議な時間が流れている。
芽吹いてから何年もの間、幼樹のままじっと光を
待ち続ける木がある。
森の中で大木は大きく枝を広げ
容易に光を落とすことを拒んでいる。
樹々は動かぬまま、生き延びる為に沈黙の戦いを繰り広げていた。
長い時を過ごしたある日、大木が倒れると
ようやく周りの幼樹は 遠慮なく光を受け取ることができるのだ。
何年もの間 成長の仕方を身体に記憶していたかのように、
ひとたび光を受け取った樹は
勢い良く降り注ぐ光へ向かい伸びるそうだ。
ギュンター・グラス「ブリキの太鼓」の主人公・オスカルは
自ら3歳で成長を止めてしまった。
その話からきたのだろうか、幼樹のまま長い時を過ごす木を
オスカルと呼ぶ森の人々がいるそうだ。
私はオスカルたちの 忍耐強さと生命力を、人の姿に重ねてみた。

遥かな伝言
テラコッタ
何を繰り返してはならないのか
宇宙の巡りから生まれ再び帰り行く命は
ひととき人に錨を下す たゆたう船の旅人のようです。
命の尊厳が損なわれ 悲しみに染まる伝言を
過去の旅人から受け取る時 憤りに心が震えます。
新しい命にむけ何を語り継がねばならないか・・・作品と共に考え続けます。

時を行く舟
ブロンズ

皆 時の川を行く
ブロンズ

あたたかい記憶・うたたねの木
ブロンズ/H51×W86
過酷な自然を物語るかのように、倒れた木を苔がおおい
土の中の微生物が幹を分解しはじめる。
そこに舞い降りた幸運な種は倒木を土壌として、
新しい命を芽吹かせる。
人間の小さな視点から覗くと、
猛々しい輪廻の姿に一瞬身を引く思いを覚えるが
ゆっくりと巡る森の営みへ思考を広げていくと、
むしろ生への渇望に清々しさを感じる。
うたた寝をするかのごとく横たわる倒木は、
小さな命に今までの記憶を静かに語りながら、
いつしか土に帰っていくのではないだろうか…

浮遊する記憶
和紙,樹脂,その他/H110×W160×D85
時間の輪の流れに私達は抗する術もない。
けれどもその束縛から解き放たれた記憶は
過去へ軽やかに滑り出し
又 現在へ舞い戻る。浮遊するかのごとく。

小さな存在の重さ
ブロンズ/H53×W65×D24

遥かな祈り(大)
ブロンズ/H65×W43×D39

森の音が聞こえる
ブロンズ/H34×W33×D36
人々の悲哀と郷愁が込められたカタロニアの古い歌に、
明日の平和と希望を託したチェリストがいました。
その故郷では鳥さえも空高く、
ピース、ピース…と鳴くそうです。
もう大分前のことです。夏の光も遮るほどの樹々の中で、
不意に静けさを解きほぐすかのように
鳥の鳴き声が響いてきたことがありました。
その時の私の耳には、
ピース、ピース…という声が重なっていました。
無限に広がる空を越え、
大地を伝い鳥の歌が響いてくるように思われました。
耳を澄ますと,深閑とした森に潜む微かな音も
その声に共鳴しているようでした。

森の音が聞こえる
ブロンズ/H34×W33×D36
人々の悲哀と郷愁が込められたカタロニアの古い歌に、
明日の平和と希望を託したチェリストがいました。
その故郷では鳥さえも空高く、
ピース、ピース…と鳴くそうです。
もう大分前のことです。夏の光も遮るほどの樹々の中で、
不意に静けさを解きほぐすかのように
鳥の鳴き声が響いてきたことがありました。
その時の私の耳には、
ピース、ピース…という声が重なっていました。
無限に広がる空を越え、
大地を伝い鳥の歌が響いてくるように思われました。
耳を澄ますと,深閑とした森に潜む微かな音も
その声に共鳴しているようでした。

記憶の箱
テラコッタ,桐,和紙,アクリル/H78×W145×D76

記憶の断片・窓辺
和紙,桐,樹脂/H154×W100×D55
忘れられた窓辺の布は風に寄せられ、片隅に追いやられた。
頼りなげに揺れていた布が、ある瞬間 突然風をはらみ、窓枠をも支え
しなやかに歩き出しそうに見えた。
そんな不意に訪れる力の移行が、現実にも内在しているように思われ
その情景が記憶の断片で微かに脈打ち続けた。
逆転した世界…。
思い返せば若い頃電車に乗るとき車両の連結近くに座る事が多かった。
その頃は車両の端にも窓があり向かい側のその窓に映る世界は
現実と違う方向に進んで行った。
見入る程その世界に入り込んでいき頭がクラッとした。
特に自分で思うように現実の世界で事が運ばない時しばしばそうしていた、
そんな気がする。
…傲慢な者が弱くなり、弱いはずの者が力を付ける
…ドンドン逆になってしまえ
…鬱屈した気持ちを乗せ車窓に映る景色は次々と逆に進んでいった。

月夜の旅人
ブロンズ,アルミ/H54

命育むもの
ブロンズ/H30×W27×D16

限りなき優しさと不安
ブロンズ/H12×W22×D13

窓に積もる記憶
テラコッタ,桐/H82×W42×D35

緩やかな向かい風
ブロンズ/H35×W54×D15

始まりは5月の朝
ブロンズ/H69×W22×D15

羽の休日
ブロンズ

小さな2人
ブロンズ

海の調べ
ブロンズ/H19.5×W25×D10

海の約束
ブロンズ/H16.5×W28×D11.5

翼の小舟・花風に揺れ
ブロンズ/H30×W36

翼の小舟・妖精の羽音
ブロンズ/H30×W36

ユニコーンの不思議
ブロンズ/H35×W26

ふくろう便・子供たちへ
ブロンズ/H35×W26

金色の羊・おひつじ座
ブロンズ/H36×W22

花嫁を乗せて・おうし座
ブロンズ/H36×W22

双子の星・ふたご座
ブロンズ/H36×W22

宙を巡るかに・かに座
ブロンズ/H36×W22

ネメアの森の獅子・しし座
ブロンズ/H36×W22

豊穣の神デメテル・おとめ座
ブロンズ/H36×W22

宙へ帰るアストラェア・てんびん座
ブロンズ/H36×W22

星になった森のさそり・さそり座
ブロンズ/H36×W22

牧神パンの忘れ笛・やぎ座
ブロンズ/H36×W22

若き日のケイローン・いて座
ブロンズ/H36×W22

優しくそそぐ雨・みずがめ座
ブロンズ/H36×W22

秋空のアフロディテ・うお座
ブロンズ/H36×W22

アンネリダタンツェーリン
ブロンズ/H36×W22
水とひかりをからだにまとひ
ひとりでをどりをやってゐる
(えゝ 8 γ e 6 α ことにもアラベスクの飾り文字)・・・
とがった二つの耳をもち
燐光珊瑚の関節に
正しく飾る真珠のぼたん
くるりくるりと廻ってゐます
(宮沢賢治・蠕虫舞手)より

ガラスのマント
ブロンズ/H36×W22
ただ小さな唇を強そうにきっと結んだまま黙って空を見ています。
いきなり又三郎はひらっとそらへとび上がりました。
ガラスのマントがギラギラ光りました。
(宮沢賢治・風の又三郎)より

ハイネを読む樺の木
ブロンズ/H36×W22
そして樺の木はその時吹いてきた南風にざわざわ葉を
鳴らしながら狐の置いていった詩集をとりあげて天の川や
そらいちめんの星から来る微かなあかりにすかして頁を繰りました。
(宮沢賢治・土神と狐)より

ブロンズ

ブロンズ

ブロンズ

ブロンズ

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デッサン
※写真は作品の一部切り出しです。全体図は個展にてご覧ください。

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ブロンズ

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ブロンズ

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黒泥の素焼き

ブロンズ

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